ハーフライフシリーズ:Valveの第1作がFPSの物語表現を変えた
1998年のValveのデビュー作ハーフライフから、ハーフライフ2、VRゲームのHalf-Life: Alyxまで。シリーズの誕生の背景、遊び方、名作とされる理由と今楽しむ方法をまとめました。
ハーフライフは、アメリカのValve(バルブ)が作った一人称シューティングゲームシリーズです。1998年に登場した第1作はValveが初めて作ったゲームでしたが、カットシーンなしでプレイヤーの視点のまま最後まで物語をつなぐ手法によって、FPSジャンルに大きな影響を与えました。一言も話さない主人公、理論物理学者のゴードン・フリーマンは、ゲーム史に名を残す主人公となりました。
このシリーズは、ゲームそのものだけでなく、その周りから生まれたものでも有名です。カウンターストライクはハーフライフのMODから始まり、ハーフライフ2はValveのゲーム配信サービスSteamで発売されました。この記事では、シリーズの始まりと遊び方、名作とされる理由、その後の作品、そして今楽しむ方法をまとめます。
概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初リリース | 1998年11月19日(Windows、ハーフライフ) |
| 開発 | Valve |
| 販売 | Sierra Studios(第1作)、Valve/Steam(第2作以降) |
| エンジン | GoldSrc(第1作)、Source(第2作)、Source 2(Alyx) |
| プラットフォーム | Windows中心、PlayStation 2・Xbox・Xbox 360・PlayStation 3、macOS、Linuxに移植、AlyxはPC VR |
| ジャンル | 一人称シューティング、パズル |
| 販売 | 第1作は900万本以上(2008年まで)、第2作は1,200万本(2011年まで) |
誕生の背景
Valveは1996年、マイクロソフト出身のゲイブ・ニューウェルとマイク・ハリントンが、アメリカ・ワシントン州カークランドに設立した会社です。最初の製品として、ホラーの雰囲気を持つFPSを作ることに決めました。小さなチームがエンジンまで自作するのは負担が大きかったため、id SoftwareのQuakeエンジンをライセンスして大幅に改造した「GoldSrc」エンジンを使いました。
着想の源としては、DOOM(1993)やQuake(1996)、スティーブン・キングの中編小説『霧』などが挙げられます。ストーリーはSF作家のマーク・レイドローが担当しました。新しい会社の野心的な計画だったためパブリッシャー探しは難航しましたが、Quakeエンジンベースの3Dアクションゲームに関心を持っていたSierra Onlineが、一作品の契約を結びました。
ValveはQuake IIと競うため1997年11月の発売を目指していましたが、1997年9月ごろ、武器や敵、レベルに新しい要素はあっても、ゲーム全体が面白くなく一貫性もないという結論に至りました。チームは開発をやり直し、当初計画していた従来型のカットシーンの代わりに、時間不足から一人称視点を途切れさせない方式を選びました。レイドローは、この選択が没入感と孤独な恐怖を生み出すという思わぬ長所になったと語っています。ゲームは1998年11月19日に発売されました。
遊び方
ハーフライフ(1998)で、プレイヤーは地下研究施設ブラックメサの科学者ゴードン・フリーマンになります。実験事故によって異星生物がなだれ込み、事件をもみ消そうとする軍の部隊まで投入されると、フリーマンは施設から脱出しなければなりません。
- 途切れない一人称:短い場面一つを除いてカットシーンはなく、物語はプレイヤーの目の前で起こる「スクリプトシーケンス」によって伝えられます。レベルという区切りの代わりにチャプターのタイトルが画面に一瞬表示されては消え、マップは短いロードを挟んで次のマップへとつながります。
- 戦闘とパズル:ベルトコンベアの迷路を抜けたり、箱を積んで道を作ったりといった環境パズルが多くあります。バルブを回して熱い蒸気で敵を倒すなど、周囲の環境を利用した戦闘もあります。
- NPCと敵:警備員や科学者が道を開けてくれたり、一緒に戦ってくれたりします。ヘッドクラブ、ボーティガントといった異星生物と人間の兵士が敵として登場します。
- 操作:WASDキーを基本の移動キーとして採用した初期の主流ゲームの一つです。
ハーフライフ2(2004)は、第1作から約20年後、異星の帝国コンバインが地球を支配する時代を描きます。Havok物理エンジンを導入して物体がリアルに動き、「グラビティガン」で物を引き寄せたり飛ばしたりして、武器・盾・足場として使えます。物理パズルや、エアボート・バギーを運転する区間も加わりました。
なぜ名作なのか
FPSで物語を伝える方法を変えました。 ハーフライフ以前のFPSは、レベルの間にカットシーンを挟んでストーリーを説明することが多くありました。ハーフライフは操作をほとんど奪わないまま物語を見せ、この手法はその後の多くの一人称ゲームの基本となりました。第1作は50を超えるPC部門の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。
技術と遊びを結びつけました。 Valveのデザイナー、ロビン・ウォーカーは、ハーフライフのゲームは技術と芸術がぶつかり合う問題を解くためのものだったと説明しています。第1作は物語を、第2作はキャラクターと物理システムを探求しました。ハーフライフ2は39のゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
MODのエコシステムを育てました。 Valveは開発に使ったレベルエディター「Worldcraft」と開発ツールをあわせて提供しました。これをもとにチームフォートレス クラシックが生まれ、独立した開発者たちが作ったカウンターストライクとDay of Defeatは正式なゲームになりました。
予想を大きく上回って売れたことも目を引きます。ニューウェルによると、第1作は生涯販売18万本ほどを見込んで予算を組んでいましたが、2008年までに900万本以上売れました。
シリーズと影響
| 作品 | リリース | メモ |
|---|---|---|
| ハーフライフ | 1998 | Valveのデビュー作 |
| オポージングフォース / ブルーシフト / ディケイ | 1999〜2001 | Gearbox Softwareが作った拡張パック |
| ハーフライフ2 | 2004 | Sourceエンジン、グラビティガン、Steamで発売 |
| エピソード1 / エピソード2 | 2006 / 2007 | 第2作の続編エピソード |
| Half-Life: Alyx | 2020 | PC VR専用、第2作の5年前の物語 |
エピソード2は物語の結末を残したまま終わり、その後エピソード3やハーフライフ3など、いくつもの計画が中止されました。2020年3月23日に登場したHalf-Life: Alyxは、Source 2エンジンで作られたVR専用ゲームで、アリックス・ヴァンスが主人公です。The Game Awards 2020で「ベストVR/AR」賞を受賞しました。
同じ世界観を共有するパズルゲーム『Portal』(2007)と『Portal 2』(2011)も大きな人気を集めました。ファンがSourceエンジンで第1作を作り直した『Black Mesa』は、Valveの承認を得て2020年に正式リリースされました。
今楽しむには
- Steam(PC):ハーフライフとハーフライフ2はSteamで入手できます。2023年11月の25周年アップデートで、第1作はオリジナルの1998年当時の内容に戻され、バグ修正やSteam Deck対応、4K解像度対応などが追加されました。
- ハーフライフ2 20周年版:2024年11月のアップデートで、エピソード1・2とロストコーストが本編に統合され、グラフィック・操作の改善や開発者コメンタリーが加わりました。
- Half-Life: Alyx:WindowsとLinuxで、PC対応のVRヘッドセットを使って遊びます。
- Black Mesa:第1作を新しいグラフィックで楽しみたいなら、Windows・Linux向けのBlack Mesaも選択肢です。
初めてなら、第1作、第2作(エピソードを含む)、Alyxの順に遊ぶと、物語の流れを自然に追うことができます。