AAAゲームとインディーゲームの違い:規模・資金・作り方を比較
AAAゲームとインディーゲームは何が違うのでしょうか。開発規模や資金調達、作り方、流通の仕組みを比較し、マインクラフトやStardew Valley、Hades、UNDERTALEなどのインディー成功作と、その中間にあるAAゲームまでまとめました。
ゲームを選ぶとき、「これは大作で、あれはインディー」という言い方をよくします。しかし、この二つの言葉は単にグラフィックの良し悪しの違いではありません。誰がお金を出すのか、何人で作るのか、何を優先して作るのかが根本的に異なります。
この記事では、AAAゲームとインディーゲームを規模、資金、作り方、流通という四つの基準で比較します。小規模なチームが大きな成功を収めた代表的なインディーゲームと、二つの世界の間にあるAA(ダブルA)ゲームもあわせて見ていきます。
まずは定義から:どちらにも公式な基準はない
AAAゲームとは、大手パブリッシャーが多額の開発費とマーケティング費を投じて作る大作を指す業界用語です。1990年代後半にゲーム小売業界で使われ始め、債券の信用格付けのAAAから名前を借りたものと考えられています。
インディーゲームは「独立(independent)」の略で、個人や小さなチームが大手パブリッシャーの資金・技術的な支援を受けずに作ったゲームを指します。映画や音楽のインディー文化から来た表現です。英語版ウィキペディアは、インディーゲームについて一つに合意された定義はなく、経済的な独立と創作上の独立のどちらを基準にするかによって範囲が変わると説明しています。
そのため、どちらの分類もはっきりと線引きできるわけではありません。ただ、典型的な姿はかなりはっきり異なります。
規模:数百〜数千人 vs 一人〜数十人
最も目立つ違いはチームの大きさです。
- AAA:ユービーアイソフトのオープンワールドゲームは400〜600人が複数の国の拠点で一緒に作っていると紹介されており、ロックスター・ゲームスの『レッド・デッド・リデンプション2』には約2,000人が8年以上携わりました。
- インディー:『Stardew Valley』はエリック・バローン(ConcernedApe)一人が約5年かけて、グラフィック、音楽、効果音まですべて作りました。『UNDERTALE』もトビー・フォックスがほぼ一人で開発しました。『Hades』を作ったSupergiant Gamesは、開発当時約20人規模のスタジオでした。
チームが大きければ膨大なコンテンツと高いグラフィック品質を実現できますが、その分だけ意思決定の段階が増え、スケジュール管理が難しくなります。チームが小さければ作れる量には限界がありますが、一人の好みとビジョンがゲーム全体にそのまま込められます。
資金:パブリッシャーの投資 vs 自己資金・クラウドファンディング・早期アクセス
AAAゲームは、パブリッシャーが開発費を出し、販売収益で回収する仕組みです。2023年の英国競争・市場庁(CMA)の資料によると、2024〜2025年の発売を目指すAAAゲームの平均開発予算は2億ドル以上でした。これほどの金額がかかると失敗を受け止めにくいため、投資判断は保守的になりがちです。
インディーゲームの資金源ははるかに多様です。
- 自己資金:個人の貯金や、別の仕事で稼いだお金で開発します。
- クラウドファンディング:Kickstarterのようなプラットフォームで、発売前に支援を集めます。『UNDERTALE』は2013年にKickstarterで目標額5,000ドルを掲げ、2,398人から51,124ドルを集めました。
- 早期アクセス:未完成版を先に販売し、開発費とフィードバックを同時に得ます。マインクラフトは2009年に公開アルファ版として始まり2011年に正式リリースされ、『Hades』も2018年12月に早期アクセスで先行公開されました。
- インディーパブリッシャー・助成金:小規模なパブリッシャーと契約したり、各国の文化支援機関やインディー専門の投資ファンドの支援を受けたりすることもあります。
作り方:実証済みの面白さ vs 新しい挑戦
予算の規模は、何を作るかにも影響します。
AAAは失敗のコストが大きいため、すでにファンのいるシリーズや、市場で実績のあるジャンルを好みます。その代わり、演出、グラフィック、ボリューム、完成度の面で、他のゲームが追いつきにくい水準を見せてくれます。多くの人が同時に楽しむ大規模なマルチプレイサービスも、ほとんどがAAA規模から生まれます。
インディーは予算が小さいからこそ、むしろ冒険ができます。ウィキペディアは、AAA側のリスク回避と新しいゲームプレイの発想の停滞が、2010年代初めにインディーゲームが注目された背景になったと説明しています。『UNDERTALE』のように「敵を倒さずに最後まで進める」RPGや、『Hades』のように繰り返される死そのものを物語を進める仕掛けとして使うローグライクは、小さなチームだからこそ挑戦できたアイデアとしてよく挙げられます。
流通:デジタルストアが変えた勢力図
かつてはゲームを売るにはディスクをプレスして店頭に並べる必要があり、これは事実上大手パブリッシャーにしかできないことでした。2000年代半ば以降、SteamのようなPC向けデジタルストアやXbox Live Arcadeのようなコンソール向けダウンロードサービスがインディーゲームを受け入れるようになり、勢力図が変わりました。2008年にXbox Live Arcadeで発売された『Braid』が大きな注目を集め、パブリッシャーが見つからなかった『World of Goo』はインディペンデント・ゲーム・フェスティバル(IGF)で受賞した後に発売のオファーを受けました。2012年にはインディー開発者たちの姿を描いたドキュメンタリー『インディー・ゲーム:ザ・ムービー』も公開されました。
今ではSteam、コンソールのストア、モバイルアプリストアのおかげで、一人で作ったゲームでもすぐに世界中へ発売できます。その代わり、毎日大量にリリースされるゲームの中で目立つことが、インディー開発者にとって最大の課題になりました。
小さなチームが作った代表的なインディー成功作
| ゲーム | 発売 | 開発 | 知られている成果 |
|---|---|---|---|
| マインクラフト | 2011年正式リリース(2009年アルファ版) | マルクス・ペルソン、Mojang | 4億本以上を販売、史上最も売れたゲーム。2014年にマイクロソフトがMojangを25億ドルで買収 |
| Stardew Valley | 2016年 | エリック・バローンの個人開発 | 2026年2月時点で5,000万本を販売 |
| UNDERTALE | 2015年 | トビー・フォックス | 500万本以上を販売、GameMaker Studioで制作 |
| Hades | 2020年(2018年早期アクセス) | Supergiant Games | 英国アカデミー(BAFTA)ゲーム賞のベストゲーム、ゲームとして初めてヒューゴー賞を受賞 |
| Hollow Knight | 2017年 | Team Cherry(オーストラリア) | 小規模チームによるメトロイドヴァニアの代表作 |
(販売本数は英語版ウィキペディアの各項目による)
マインクラフトはインディーとして始まり、最終的に大企業に買収された例であり、「インディーがどこまで大きくなれるか」を示しています。『Stardew Valley』と『UNDERTALE』は、一人の開発でも数百万、数千万人に届きうることを証明しました。『Hades』は、インディーゲームがAAAと同じ授賞式の舞台で最高賞を受賞できることを示しました。
その中間にあるAA(ダブルA)ゲーム
AAAとインディーの間にはAA(ダブルA)ゲームがあります。大手パブリッシャーの主力スタジオではないものの、パブリッシャーの支援を受ける専門の開発会社が作る中規模のゲームで、ウィキペディアはおおむね50〜100人規模のスタジオを例に挙げています。パブリッシャーの目標やスケジュールには従う必要がありますが、AAAよりも実験の余地が大きく、価格も低めです。
例としては『PUBG: BATTLEGROUNDS』、『DayZ』、フランスのスタジオSandfall Interactiveの『Clair Obscur: Expedition 33』(2025年)などが挙げられます。インディーの資金で作られながらAAA水準を目指すゲームを、別にIII(トリプルI)と呼ぶこともあります。
ひと目でわかる長所と短所の比較
| 基準 | AAAゲーム | インディーゲーム |
|---|---|---|
| チーム規模 | 数百〜数千人 | 1人〜数十人 |
| 資金 | 大手パブリッシャーの投資、数億ドル規模の予算 | 自己資金、クラウドファンディング、早期アクセス、小規模パブリッシャー |
| 開発期間 | 通常は数年、大作は5年以上 | 数か月〜数年、チームの状況によって大きく異なる |
| 強み | グラフィック・演出・ボリューム・完成度、大規模なマーケティング | 独創的なアイデア、はっきりした個性、素早い意思決定 |
| 弱み | リスク回避による似たゲームの繰り返し、クランチ問題 | 少ないリソース、宣伝の難しさ、開発者個人の負担 |
| 価格 | 定価は高めのことが多い | 安めのことが多い |
| 代表例 | GTA、コール オブ デューティ、ゼルダの伝説 | マインクラフト、Stardew Valley、UNDERTALE、Hades |
どちらが優れているとは言いにくいものです。数百人が磨き上げた巨大な世界を求めるときはAAAが、初めて見るアイデアや作り手の声を感じたいときはインディーがよく合います。実際、多くの人が両方を交互に楽しんでいます。
小さなスタジオにできること
インディーゲームの歴史は、「小さなチームは小さなゲームしか作れない」という考えが間違いであることを示しています。もちろんすべてのインディーゲームが成功するわけではありませんが、規模の代わりにアイデアと集中力で勝負できることが、インディーの最大の魅力です。
KEKE STUDIOも、モバイルとPC向けのゲームを作る小さなインディースタジオです。大きな予算の代わりに一つの面白さを最後まで磨き上げるやり方で、パズルやディフェンスといったジャンルのゲームを作っています。