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カタン(カタンの開拓者たち)のルールと歴史 — クラウス・トイバーの島から4,500万個まで

1995年にクラウス・トイバーが生んだボードゲーム「カタン」の誕生の背景と年間ゲーム大賞の受賞、六角形タイル・サイコロ・交易・盗賊のルール、拡張版と2人用・カード版、デジタル版、世界的な広がりをまとめました。

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カタン(Catan)は、六角形のタイルで島を作り、サイコロで資源を手に入れ、ほかの人と資源を交換しながら開拓地や都市を広げていくボードゲームです。1995年にドイツで『カタンの開拓者たち(Die Siedler von Catan)』という名前で発売され、今では最も多く売れた現代ボードゲームのひとつに数えられています。

この記事では、カタンという一作品をじっくり見ていきます。歯科技工士だったクラウス・トイバーがこのゲームを作った経緯、1995年の年間ゲーム大賞受賞、ルールの要点、拡張版と2人用・カードゲーム、デジタル版、販売数から見た広がりを順にまとめ、交渉と確率が生む面白さについても考えます。

クラウス・トイバーとカタンの誕生

地下室でゲームを作った歯科技工士

クラウス・トイバー(Klaus Teuber)は1952年、ドイツのオーデンヴァルト地方にある村ライ・ブライテンバッハで生まれました。NPRのインタビューによると、彼は11歳のときにローマとカルタゴの戦争を題材にしたボードゲームを贈られ、自分で作ったテーブルの上の地形で、ひとりで軍隊を動かして遊んだそうです。

大人になった彼は父親の歯科技工所で働きましたが、仕事は楽しくなく、1980年代から自宅の地下室でゲームを作ってストレスを晴らしていました。最初の作品『バルバロッサ(Barbarossa)』が1988年にドイツの年間ゲーム大賞であるシュピール・デス・ヤーレス(Spiel des Jahres)を受賞し、1990年に『貴族の務め(Adel Verpflichtet)』、1991年に『ドルンター・ウント・ドリューバー(Drunter und Drüber)』が同じ賞を受けました。1995年のカタンは、彼にとって4作目の受賞作になります。

ヴァイキングの航海から始まった構想

トイバーがカタンの構想を始めたのは1991年ごろです。彼はヴァイキングが海を渡ってアイスランドのような新しい土地を目指した歴史に惹かれ、島に初めてたどり着いた人々には家を建てる木材と食べるための穀物が必要だっただろうという想像が、ゲームの出発点になりました。

最初の設計は今よりずっと大きなものでした。ドイツ語版ウィキペディアによると、島は最初は隠れていて探検するにつれて姿を現し、最後には島をめぐる争いまで入れる計画でした。トイバーはこれを分けて、真ん中の「開拓」の部分をカタンにし、使わなかったアイデアは後に『エントデッカー(Entdecker)』と『レーベンヘルツ(Löwenherz)』に生かされました。1993年から1995年にかけては、出版社コスモスとともにルールを磨き、シンプルにしていきました。

最大の転機は、土地を六角形のタイルにしたことでした。六角形はすべての辺が隣のタイルと同じように接するため、3枚のタイルが接する頂点に開拓地を置くと、ひとつの開拓地が3種類の土地から資源を受け取る仕組みが自然に生まれます。

名前にもいきさつがあります。もともとは『開拓者たち(Die Siedler)』として出すつもりでしたが、1993年にブルーバイトが同じ名前のコンピューターゲームをすでに発売していました。そこで家族や友人に造語のリストを見せ、いちばん人気だった「カタン」を付けました。

1995年、年間ゲーム大賞に

カタンは1995年にコスモス(当時の名前はフランク・コスモス)から発売され、その年ドイツの主要なボードゲーム賞を一度に受けました。

  • シュピール・デス・ヤーレス(年間ゲーム大賞):ドイツ語圏の評論家による審査員団が、家族で一緒に楽しめるゲームに贈る賞
  • ドイツゲーム賞(Deutscher Spiele Preis):1位
  • エッセン羽根賞(Essener Feder):ルールブックがよく書かれたゲームに贈る賞

シュピール・デス・ヤーレス公式サイトの紹介には、3〜4人、10歳以上、約75分のゲームと書かれており、短い要約ルールと辞書のように引ける詳しいルールブックを一緒に入れて、すぐに始められるようにした点が高く評価されました。

この成功でトイバーは1998年に専業のゲームデザイナーになり、2002年には家族の会社カタンGmbHを設立しました。現在は2人の息子、ベンヤミンとグイド・トイバーが会社を率いています。トイバーは2023年4月1日、70歳で亡くなりました。

ルールの要点:六角形タイルとサイコロによる資源生産

カタン基本版の目標は、勝利点10点を最初に獲得することです。

  1. 島を作る:土地タイル19枚(森4、牧草地4、畑4、丘陵3、山地3、砂漠1)を混ぜて島を作り、砂漠を除く18枚に数字チップを置きます。初めての人向けのおすすめ配置もルールブックに載っています。
  2. 資源を受け取る:手番の人がサイコロを2個振ります。出た合計と同じ数字の土地に接する開拓地は資源を1枚、都市は2枚受け取ります。森は木材、牧草地は羊毛、畑は小麦、丘陵はレンガ、山地は鉱石を生みます。
  3. 交易と建設:資源を交換し、街道・開拓地・都市を建てたり、発展カードを買ったりします。
建てるもの必要な資源勝利点
街道木材1、レンガ10
開拓地木材1、レンガ1、羊毛1、小麦11
都市(開拓地を置き換え)小麦2、鉱石32
発展カード羊毛1、小麦1、鉱石1カードによる

開拓地はほかの開拓地のすぐ隣の頂点には建てられないため、よい場所はすぐになくなります。発展カード25枚には、騎士14枚、進歩カード6枚、勝利点カード5枚が入っています。さらに特別な得点が2つ加わります。

  • 最長交易路:5本以上つながった街道のうち、最も長い人が受け取るカードで2点です。相手が街道の途中に開拓地を建てると、道は途切れます。
  • 最大騎士力:騎士カードを3枚以上、最も多く出した人が受け取るカードで2点です。

どちらのカードも、より上回る人が現れると持ち主が変わるため、先頭の人をけん制する仕組みになっています。

確率と盗賊:7が出ると起きること

数字チップには確率を示す小さな点が打たれていて、最もよく出る6と8は赤い色です。

サイコロの合計2・123・114・105・96・87
組み合わせ(36通り中)123456
確率約2.8%約5.6%約8.3%約11.1%約13.9%約16.7%

6や8の土地は、2や12の土地より5倍よく資源を生みます。ただし、よい数字ばかりに集まると必要な資源の種類が欠けることがあるので、確率・資源の種類・港の位置をあわせて考える必要があります。

最もよく出る7には資源がなく、代わりに盗賊が動きます。7を出した人は盗賊をほかの土地に移し、その土地に接するプレイヤーから資源カードを1枚引いてきます。盗賊がいる土地は資源を生みません。また、資源カードを8枚以上持っている人は半分(切り捨て)を捨てなければならないため、資源をため込むよりも、そのつど使うようになります。騎士カードでも盗賊を動かせますが、このときはカードを捨てる必要はありません。

交易と交渉:自分の手番でなくてもテーブルを離れない理由

カタンで最も独特なのは交易です。

  • プレイヤー同士の交易:手番の人がほかの人と、合意した比率で資源を交換します。手番でない人同士は取引できません。
  • 銀行との交易:同じ資源を4枚出して、好きな資源を1枚受け取ります。
  • 港での交易:港に開拓地を建てると3:1、または特定の資源を2:1で交換できます。

プレイヤー同士の交換は銀行より有利なことが多いため、駆け引きが途切れません。しかし1位の人に必要な資源を渡すと自分が負けるかもしれないので、誰と何を交換するかには常に計算が必要です。ボードゲーム作家のエリック・アーネソンはNPRのインタビューで、ほかの人の手番でも全員が参加し、誰も脱落しない点をカタンの長所に挙げました。サイコロの結果が全員に資源をもたらすため、待つ時間も退屈しません。トイバー自身は、人気の理由として戦略と運のバランスを挙げていました。

拡張版、2人用、カードゲーム

ドイツ語版ウィキペディアによると、カタンは人数を増やす追加セットと、新しい内容を加える拡張版が出た最初のシュピール・デス・ヤーレス受賞作でした。主な製品は次のとおりです。

年製品内容
19965〜6人用追加セット人数を増やし、手番の間に建設するフェーズを追加
1996カードゲーム2人がカードで自分の領地を育てる2人用ゲーム
1997航海者(Seafarers)船で海を渡り、多くの島を探検
1998都市と騎士(Cities & Knights)侵略してくる蛮族を騎士で防ぎ、商品と都市の発展を追加
2008商人と蛮族(Traders & Barbarians)複数のシナリオと公式の2人用ルールを収録
2010カタンの領主たち(Rivals for Catan)上級者向けの2人用カードゲーム
2012カタン・ジュニア海賊がテーマの、ルールを簡単にした家族向け
2013探検者と海賊(Explorers & Pirates)動く船、新しい資源、海賊を追加

当初の構想にあった探検は、航海者の拡張で戻ってきました。基本版は3〜4人用で2人では遊びにくいため、トイバーは架空の中立プレイヤー2人分の街道と開拓地も一緒に置く2人用ルールを発表し、このルールは商人と蛮族に収録されました。2015年の20周年には、シリーズ名を整理して『カタンの開拓者たち』を『カタン』に改めました。

デジタル版:オンラインからSwitchまで

  • カタン・オンライン・ワールド:2002年12月に発表されたオンラインサービスで、基本版は無料、拡張は有料でした。
  • Xbox Live アーケード版:ビッグ・ヒュージ・ゲームズがトイバーとともに制作し、2007年5月に登場しましたが、2014年半ばに予告なく取り下げられました。
  • モバイル版:エクソゼット・ゲームズが開発し、2009〜2010年にiOS、2011年にAndroid向けに登場しました。
  • カタン・ユニバース:2017年4月に始まったクロスプラットフォーム版で、新型コロナの流行期には新しいプレイヤーが押し寄せ、サーバーが追いつかないこともありました。
  • Nintendo Switch版:2019年6月に発売されました。

トイバーは、ビデオゲームの開発を助けるために、それぞれの行動の効果と確率をまとめたExcelの表を自ら作ったといいます。一方、拡張現実ゲーム『カタン:ワールドエクスプローラーズ』は、1年間の早期アクセスの末、2021年に正式リリースされないままサービスを終えました。

数字で見る世界的な広がり

時点販売数言語出典
2020年3,200万個以上-NPR(会社の資料)
2023年4,000万個以上40以上BBC
2025年第1四半期4,500万個以上40以上カタン公式サイト

NPRによると、カタンは1996年にアメリカで発売されてから販売が大きく伸び、それ以前の受賞作と違って、数年たっても売れ行きが落ちませんでした。2020年には家で過ごす家族が増え、最初の5か月で販売が144%伸びたと会社が明らかにしています。

最初の世界大会は2002年にドイツのエッセンで開かれ、2008年からは2年ごとにアメリカとドイツで交互に開かれています。2018年の大会には40を超える国から選手が参加しました。ワシントン・ポストは2010年、カタンを「私たちの時代のボードゲーム」と呼びました。

おわりに:交渉と確率がともに生む面白さ

カタンの面白さは2つの軸でまとめられます。ひとつは確率です。6と8の隣に開拓地を置くか、出にくい数字でも鉱石が出る山地を押さえるかを決めた瞬間から、期待値の計算が始まります。それでもサイコロは計算どおりには出ないため、初心者でも上級者に勝つことができ、毎回違う物語が生まれます。

もうひとつは交渉です。誰に資源を売るか、盗賊をどこに置くかがすべて人と人との会話で決まるため、同じ盤面でも一緒に遊ぶ人によってまったく違うゲームになります。初めてなら、おすすめ配置から始めて、よい数字とさまざまな資源をバランスよく持てる場所を選ぶことだけ意識すれば十分です。

参考資料

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