ジグソーパズルの歴史:18世紀の地図パズルからスマホアプリまで
1760年代ロンドンの地図教材として始まったジグソーパズルが、どのように名前を得て、大恐慌期の流行やダイカットの大量生産を経てデジタルアプリになったのか、上手に組むコツまでまとめました。
ジグソーパズルは、1枚の絵をいくつものピースに分け、それをまた組み合わせるシンプルな遊びです。ところが、この遊びは最初から遊びとして作られたものではありませんでした。18世紀のイギリスで、子どもたちに地理を教えるために作られた「切り分けた地図」がその始まりでした。
この記事では、ジグソーパズルがいつ誰によって作られたのか、「ジグソー(jigsaw)」という名前はどこから来たのか、木製パズルが紙製パズルに変わった過程、大恐慌やパンデミック期の流行、そしてデジタルパズルアプリへと続く流れを見ていきます。最後に、パズルを素早く組むための基本的なコツもまとめました。
1760年代ロンドン、木の板の上の世界地図
ジグソーパズルを初めて商品として作った人物とされるのは、ロンドンの地図製作者で版画家のジョン・スピルズベリー(John Spilsbury、1739〜1769)です。彼は王室地理学者トーマス・ジェフリーズのもとで徒弟として働き、1763年には自らを「木製地図の分割職人(map dissector in wood)」と宣伝していました。
スピルズベリーは世界地図を薄い木の板に貼り、国境線に沿って切り抜きました。生徒がピースを組み直しながら国の位置や形を覚えられるようにした教材です。これは当時「分割地図(Dissected Maps)」と呼ばれていました。彼は世界、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ、イングランドとウェールズ、アイルランド、スコットランドの8つのテーマでパズルを作りました。
ただし、スピルズベリーが唯一の元祖というわけではありません。イギリスに滞在していたフランスの作家で教育者のジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモンが、1759年ごろからすでに「木の地図」を授業で使っていたという記録が手紙に残っています。そのため今日では一般に、「スピルズベリーがジグソーパズルを初めて商品化した」と表現されます。
切り分けた地図は上流階級の教育で人気を集めました。王室の家庭教師シャーロット・フィンチは、こうした分割地図を使ってジョージ3世とシャーロット王妃の子どもたちを教えました。スピルズベリーは1769年、30歳ほどで亡くなりましたが、妻と彼の徒弟だったハリー・アシュビーが事業を引き継ぎました。
「ジグソー」という名前はどこから来たのか
初期のパズルは「分割(dissection)」と呼ばれていました。今の名前は、パズルを切っていた道具から来ています。
| 時期 | 変化 |
|---|---|
| 1760年ごろ | 象嵌細工用のノコギリで木製地図を切る |
| 1800年代後半 | 厚紙(カードボード)パズルが登場、ただし木製パズルが依然として主流 |
| 1880年ごろ | 糸ノコ(fretsaw)が主な道具となり、「ジグソー」という言葉と結びつく |
| 1906年 | 「ジグソーパズル(jigsaw puzzle)」という表現が記録に現れる |
正確に言えば、パズルを切るのには糸ノコ、ジグソー、スクロールソーなどさまざまな道具が使われましたが、その中で「ジグソー」が名前として定着しました。厚紙のパズルは1800年代後半にはすでに登場していましたが、メーカーが「安っぽく見える」と考えていたことや、木製パズルのほうが利益が大きかったことから、しばらくは広く使われませんでした。
大人の遊びに:1900年代と大恐慌
ジグソーパズルが子どもの教材から大人の趣味に変わったのは、20世紀初めのことです。アメリカでは1907年から1910年にかけて大人の間でパズルブームが起き、ヨーロッパにも1〜2年後に広がりました。
この時期のパズルは、今とはかなり違っていました。
- 硬い木で作られていました。
- ピース同士がかみ合わないものが多く、少し触れただけでばらばらになりました。
- 箱に完成図が載っていないことが多くありました。
パズル史家のアン・ウィリアムズは、このブームの背景として、1907年の景気後退、中流階級の女性の間での手工芸趣味の広がり、足踏み式スクロールソーの普及を挙げています。
二度目の大きな流行は1930年代の大恐慌でした。パズルは安く、長く楽しめ、完成した後は友人と交換することもできる遊びでした。このころパズルはより複雑になり、大人が楽しむのに向いた形になりました。企業は自社商品の絵をパズルにして、販促品として配ることもありました。
木から紙へ:ダイカットの大量生産
今日のほとんどのパズルは、紙を圧縮した厚紙で作られています。作り方はクッキーの型で生地を抜くのに似ています。
- 絵を印刷して厚紙に貼ります。
- ピースの形に合わせて鋼鉄の刃を埋め込んだ型(パズルダイ)を用意します。
- プレス機が型を厚紙に強く押しつけ、一度にすべてのピースを切り抜きます。
1930年代からは、巨大な油圧プレスでパズルを打ち抜くようになりました。精密に切られたピースはぴったりとはまりましたが、設備が高価だったため、大企業しかパズルを作れませんでした。第二次世界大戦後には賃金が上がって手で切る木製パズルの値段が高くなり、厚紙パズルが市場の中心になりました。
最近では、レーザーで木やアクリルを切る方法も使われています。好きな大きさとピース数で自由に切ることができ、なくしたピースを作り直すのも簡単です。
ピース数と形に込められたルール
パズルの箱に書かれたピース数は、実際の数と少し違うことがよくあります。ピースが縦横の格子状に並べられるためです。
| 表記 | よくある配列 | 実際のピース数 |
|---|---|---|
| 500ピース | 27 × 19 | 513個 |
| 1000ピース | 38 × 27 | 1,026個 |
現代のパズルのピースは、丸い突起とくぼみで隣のピースとかみ合います。組み上げたかたまりを持ち上げてもばらばらにならないほどしっかりかみ合うパズルを「完全インターロック」と呼び、すべてのピースの形がほぼ同じパズルは見分けにくいため難易度が高くなります。逆に、昔の木製パズルには動物や物の形をした特別なピース(「ウィミジー」)が入っていることもありました。
世界記録もあります。ピース数では、2011年にベトナムのホーチミン市で大学生たちが組み上げた551,232ピースのパズルがギネス記録に登録されています。2019年からは世界ジグソーパズル選手権も毎年開催されています。
パンデミックとデジタルパズルアプリ
ジグソーパズルは、人々が家で過ごす時期になるたびに再び注目を集めてきました。新型コロナウイルスの流行で外出が制限されていた時期には、パズルの需要が大恐慌時に匹敵するほど大きく伸びました。
それと同時に、パズルは画面の中にも移っていきました。デジタルのジグソーパズルには、紙のパズルと比べて次のような違いがあります。
| 項目 | 紙のパズル | デジタルパズル |
|---|---|---|
| スペース | 広いテーブルが必要 | スマホ一つで十分 |
| ピースの紛失 | 起こりうる | なし |
| 難易度調整 | 箱ごとに固定 | ピース数・回転の有無を変えられる |
| 絵柄 | 買ったパズルのみ | さまざまな絵柄にすぐ切り替えられる |
| 手触り | ピースに触れる楽しさ | タッチで素早く |
紙のパズルの手触りに代わることはできませんが、短い時間で1回を終えたいときや、テーブルを長く占領できないとき、アプリのパズルは良い選択肢です。
パズルを素早く組むコツ
紙でもアプリでも、基本のコツは同じです。
- 端から:一辺がまっすぐな縁のピースと4つの角のピースを先に選び出し、枠を作ります。
- 色と模様で分ける:空、建物、人物のように、色と質感が似ているピース同士を集めます。
- 目立つ部分から:文字、顔、はっきりした境界線のように、手がかりの多いところから先に完成させます。
- 形で見分ける:空のように色が単調な部分は、突起とくぼみの数と位置でピースを分類します。
- ひと休みする:行き詰まったときは、少し別の区画に移ると意外と早く解けます。
2021年のある研究では、3〜5歳の子どもたちにさまざまな種類のパズルを組ませたところ、絵があってピースの形がそれぞれ異なる一般的なパズルを最も早く解きました。これは、絵と形という二つの手がかりを一緒に使うことがパズルを解くカギだという意味でもあります。
おわりに
教室の地図教材として始まったジグソーパズルは、250年以上にわたって姿を変えながら生き残ってきました。木から厚紙へ、厚紙から画面へと素材が変わっても、散らばったピースが一枚の絵になる瞬間の楽しさは変わりません。
スマホで気軽に楽しみたいなら、Keke StudioのJIGGLEBELL ジグソーパズルや、K-POPの雰囲気の絵を組み上げるK-Pop Jigsaw Puzzle: NOCTIVEとVELORAといったパズルアプリも一つの方法です。


