アドベンチャーゲームとは?テキストからポイント&クリック、ノベルまで
アドベンチャーゲームの定義と面白さ、テキスト・ポイント&クリック・ビジュアルノベル・ウォーキングシミュレーターなどの分類、コロッサル・ケーブ・アドベンチャーからウォーキング・デッドまでの代表作を紹介します。
「アドベンチャー」という言葉を聞くと、ジャングルをかき分けて宝物を探す冒険映画がまず思い浮かびます。しかし、ゲームでいうアドベンチャーゲームとは、物語の雰囲気ではなく遊び方を指す名前です。剣での戦いや銃撃戦の代わりに、周囲を調べ、物を集め、人々と会話しながら謎を解いて、物語を前へと進めていくゲームです。
この名前は、1970年代のあるテキストゲームに由来します。そのゲームをまねた作品が増えたことで1つのジャンルとなり、その後、グラフィック画面、マウスクリック、セリフ中心のビジュアルノベル、歩くだけのウォーキングシミュレーターへと、姿を大きく変えてきました。
この記事では、アドベンチャーゲームの定義と核となる面白さ、下位分類、歴史に残る代表作、設計で気を配る点、どんな人に向いたジャンルなのか、そして現在の姿を順に見ていきます。
定義と核となる面白さ
英語版ウィキペディアは、アドベンチャーゲームの核となる要素として物語、探索、パズル解きの3つを挙げています。ジャンル名は、1976年にウィル・クラウザー(Will Crowther)がPDP-10メインフレーム向けに作ったテキストゲームコロッサル・ケーブ・アドベンチャー(Colossal Cave Adventure)から来ています。よく単に「アドベンチャー」と呼ばれたこのゲームを手本に作られた作品群がジャンルを形作ったため、文学の冒険小説とは違い、ゲームのアドベンチャーはプレイの仕方によって定義されます。
ほかのジャンルと比べると、境界がよりはっきりします。
- アクションゲームとの違い:戦闘や反射神経を試す要素がほとんどないか、ごくわずかです。対立がないという意味ではなく、戦いが主な活動ではないという意味です。
- RPGとの違い:経験値、能力値、スキルのような数値ルールや成長システムがほとんどありません。
- パズルゲームとの違い:パズルゲームはパズルそのものがすべてですが、アドベンチャーゲームは探索と物語が中心で、パズルはその合間に置かれます。
そのため、アドベンチャーゲームの面白さは「次の場面が気になる」という気持ちから生まれます。部屋の中の手がかりを1つずつ見つけ、突飛に見えた2つの物を組み合わせて扉を開けたときの「なるほど!」という瞬間、そしてその報酬として物語の次のピースが開かれる流れが、このジャンルの基本的なリズムです。
下位分類
アドベンチャーゲームは、入力方式や物語の見せ方によっていくつかの系統に分かれます。
| 下位分類 | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| テキストアドベンチャー(インタラクティブフィクション) | 文章で状況を説明し、プレイヤーは「go north」「take lamp」のようなコマンドを入力 | コロッサル・ケーブ・アドベンチャー、ゾーク |
| グラフィックアドベンチャー | 絵で場面を見せ、テキストコマンドやメニューで操作 | ミステリーハウス、キングズクエスト |
| ポイント&クリック | マウスカーソルで画面上の物や人物をクリックして調べる・使う | モンキーアイランド、グリム・ファンダンゴ |
| パズルアドベンチャー | 物語よりも仕掛け・論理パズルの比重が大きい | MYST、レイトン教授シリーズ |
| 脱出ゲーム(Escape room) | 狭い空間を調べて抜け出す短い形式 | Web・モバイルの脱出ゲーム |
| ビジュアルノベル | 一人称視点のセリフと選択肢が中心で、パズルは少ない | 逆転裁判、日本のサウンドノベルシリーズ |
| ナラティブアドベンチャー | 選択によって物語が分岐する映画のような構成 | ウォーキング・デッド(テルテール) |
| ウォーキングシミュレーター | 歩いて見て回るだけで物語を体験し、勝ち負けがないこともある | Gone Home |
| インタラクティブムービー | 実写・アニメーション映像と短い入力を組み合わせる | ドラゴンズレア |
「ウォーキングシミュレーター」という名前は、当初は「歩くだけ」という皮肉の意味で使われることもありましたが、今では環境の中の手がかりで物語を伝えるゲームを指すジャンル名として定着しました。アクションと混ざったアクションアドベンチャー(ゼルダの伝説シリーズなど)は、体を使って乗り越える挑戦がはるかに多いため、通常は別の大きなジャンルとして扱われます。
歴史に残る代表作
| 年 | ゲーム | 開発 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1976 | コロッサル・ケーブ・アドベンチャー | ウィル・クラウザー(1977年にドン・ウッズが拡張) | ジャンル名の起源、短い英語コマンド入力 |
| 1977 | ゾーク(Zork) | MITのティム・アンダーソンら、のちにインフォコム | より精巧な文章解析、1980年から商用版 |
| 1980 | ミステリーハウス | オンライン・システムズ(のちのシエラ・オンライン) | 最初のグラフィックアドベンチャーとされる |
| 1983 | ポートピア連続殺人事件 | 堀井雄二/エニックス | 日本の推理アドベンチャーの古典、1985年にファミコン版 |
| 1984 | キングズクエスト | シエラ・オンライン | キャラクターを直接動かす疑似3D画面 |
| 1990 | モンキーアイランド | ルーカスフィルム・ゲームズ | キャラクターがほとんど死なない設計、ユーモア |
| 1993 | MYST | サイアン | 事前レンダリングした3D画像をクリックして探索 |
| 1998 | グリム・ファンダンゴ | ルーカスアーツ | ルーカスアーツ初の3Dアドベンチャー、高い評価と振るわない売上 |
| 2001 | 逆転裁判 | カプコン | 法廷ビジュアルノベル、2005年のDS版で海外進出 |
| 2012 | ウォーキング・デッド | テルテール・ゲームズ | エピソード形式、選択が次の話まで引き継がれる |
| 2013 | Gone Home | The Fullbright Company | 空き家を調べながら家族の物語をつなぎ合わせるウォーキングシミュレーター |
1980年代から1990年代前半にかけて、アドベンチャーはPCゲームで最も人気のあるジャンルのひとつでした。シエラとルーカスアーツが競い合い、多くの名作を生み出しました。しかし、1990年代後半からMYSTに似たゲームがあふれ、DOOMやHalf-LifeのようなFPSが物語とアクションを同時に見せるようになると、市場は急速に縮小しました。グリム・ファンダンゴは高い評価を受けたものの販売は振るわず、シエラは1999年に幕を閉じました。
日本は別の道を歩みました。ポートピア連続殺人事件のファミコン版は、キーボードがない代わりにコマンドメニューを選ぶ方式を採用し、70万本以上を売り上げました。この流れはセリフと選択肢中心のビジュアルノベルへとつながり、チュンソフトのサウンドノベルシリーズは合計200万本以上を売り上げました。ポートピアは、小島秀夫がゲーム業界に入るきっかけにもなりました。
設計の特徴
アドベンチャーゲームを作るうえで最も大切なのは、パズルが物語から浮かないようにすることです。ウィキペディアは、物語の流れを断ち切らないパズルを良い設計の例として挙げています。
- アイテムの組み合わせと使用:インベントリに集めた物を別の物や場所に使うのが、古典的なパズルの形式です。ただし、答えがあまりに突飛だと、プレイヤーはすべての物をあらゆる場所で試す「総当たり」に陥ってしまいます。
- 会話ツリー:質問を選んで情報を得て、答えによって別の道が開けます。
- 失敗の重さ:初期のシエラのゲームでは、主人公が頻繁に死んだり、必要な物を取り逃すとそれ以上進めなくなる状況が生じたりしました。ロン・ギルバートはモンキーアイランドで、キャラクターがほとんど死なないようにして探索に集中できるようにし、この方式はその後の多くのゲームの基準となりました。
- ヒントと案内:行き詰まる時間が長くなると、面白さが途切れてしまいます。最近のゲームは、段階的なヒント、調べられる場所の表示、あらすじの要約画面などでこれを減らしています。
- 分岐と選択:ナラティブアドベンチャーは、パズルの代わりに選択の結果によって緊張感を生み出します。選択がその後の場面や次のエピソードにまで影響するという感覚が核心です。
こんな人におすすめ
- 素早い反応速度よりも、じっくり考えるプレイが好きな人
- 小説やドラマのように物語と登場人物に没入したい人
- 推理、手がかり集め、リアル脱出ゲームのような体験が好きな人
- 短い時間ずつ区切って遊びながらも、1つの物語を最後まで見届けたい人
逆に、キャラクターを育てる成長感やほかの人と競う緊張感を求めるなら、RPGや対戦ゲームのほうが合っているかもしれません。
現在のアドベンチャーゲーム
2000年代前半に低迷したアドベンチャーゲームは、新しいプラットフォームと新しい資金調達の方法によって再び息を吹き返しました。タッチスクリーンは「タッチして調べる」ポイント&クリックと相性が良く、ニンテンドーDSでは逆転裁判やレイトン教授シリーズが海外でも人気を得ました。ウィキペディアによると、逆転裁判シリーズは1,300万本以上、レイトン教授シリーズは1,800万本以上を売り上げています。
デジタル配信によって、数か月かけて1話ずつ出すエピソード形式が可能になり、テルテールのウォーキング・デッドがその代表的な成功例となりました。2012年には、ティム・シェイファーのダブルファインがKickstarterで目標の40万ドルを大きく上回る340万ドル以上を集めて『Broken Age』を制作し、クラウドファンディングがアドベンチャーゲームの新たな道となりました。
現在、アドベンチャーの要素はさまざまなジャンルに広がっています。隠し絵探しやまちがいさがしのように「画面を細かく見て手がかりを探す」カジュアルゲームも、そのルーツを共有しています。Keke StudioのJIGGLEBELL かくれんぼ探しも、場面の中の物を見つけてタップする方式なので、アドベンチャーゲームの調べる楽しさを気軽に味わうのにぴったりです。
