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ビジュアルノベルとは?読むゲームの定義・分類・代表作と歴史

ビジュアルノベルの定義と面白さ、サウンドノベル・キネティックノベル・推理アドベンチャーなどの分類、ポートピア連続殺人事件から逆転裁判、ドキドキ文芸部!までの代表作と設計の特徴をまとめました。

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画面の下にセリフが1行ずつ表示され、クリックするたびに物語が進みます。ときどき「彼女について行く/家に帰る」といった選択肢が現れ、その選択によって結末が変わります。このようなゲームをビジュアルノベル(visual novel)と呼びます。

ビジュアルノベルは「ゲームなのか、本なのか」という質問をよく受けるジャンルです。手でする操作は少ないものの、読む人が物語の方向を選び、その結果を引き受けるという点で小説とも異なります。この記事では、ビジュアルノベルの定義と面白さ、サブジャンル、日本で始まって世界に広がるまでの歴史、そして作り手から見た設計の特徴をまとめます。

定義と核となる面白さ:物語を読んで選ぶゲーム

英語版ウィキペディアは、ビジュアルノベルを物語を見せることに重点を置いた、日本発祥のビデオゲームジャンルと説明しています。クリックやタッチ、ボタンで物語を送りながら進め、人物の立ち絵と背景画、音楽と効果音で雰囲気を作ります。物語とセリフは主にテキストボックスで表示され、メニューの選択肢で主人公の行動やセリフを選ぶことが多いです。

日本ではよくノベルゲームと呼ばれます。「ビジュアルノベル」という言葉は1990年代半ばに生まれ、1996年にリーフ(Leaf)が「ビジュアルノベルシリーズ」と銘打った雫が、この表現を使った最初の商業ゲームとされています。

ビジュアルノベルの面白さは次のとおりです。

  • 没入する楽しさ:人物の表情、音楽、効果音が文章とともに変わり、映画と小説の中間のような体験を与えてくれます。
  • 選択する楽しさ:自分の選択が人物の運命を変え、別の選択をするとまったく違う結末を見られます。
  • パズルのような物語:複数のルートをすべて読まないと真実が見えない構造では、物語そのものが謎解きになります。

画面構成:ADVとNVL

ビジュアルノベルのテキスト表示方式は大きく2つあります。画面下の一部だけに会話ボックスを置くADV(アドベンチャー)方式と、画面全体を文章で埋めるNVL(ノベル)方式です。ADVは人物の絵を大きく見せるのに向いており、NVLは小説のような長い描写や独白に合っています。

サブジャンル

系統特徴代表作
分岐型ノベルゲーム選択肢でストーリーが分岐し、複数の結末Kanon、Fate/stay night
キネティックノベル選択肢なしで一本道の物語だけが進むplanetarian
サウンドノベル絵の上に文章を重ね、音の演出を重視弟切草
推理・法廷アドベンチャー証拠を集めて矛盾を指摘するゲーム要素逆転裁判、ダンガンロンパ
パズル融合型脱出パズルと物語パートが交互に進行極限脱出 9時間9人9の扉
恋愛中心登場人物との関係と感情が中心To Heart、Kanon
メタ・ジャンルひねり型ジャンルのお約束をあえて覆す演出ドキドキ文芸部!

注意しておきたい点がひとつあります。欧米では逆転裁判やポートピア連続殺人事件のようなゲームもビジュアルノベルと呼ぶことが多いですが、日本ではこうしたゲームをアドベンチャーゲームとみなし、ビジュアルノベルはその一系統と考えます。同じ言葉でも、地域によって範囲が少し異なります。

歴史上の代表作

年ゲーム開発特徴
1983ポートピア連続殺人事件堀井雄二(発売エニックス)場面をすぐに移る演出で、日本のアドベンチャーのルーツとなる
1992弟切草チュンソフト「サウンドノベル」を掲げたスーパーファミコン作品、全画面の絵の上にテキスト
1996雫リーフ「ビジュアルノベル」という名前を初めて使った商業ゲーム
1999KanonKey泣き系ノベルゲーム市場を固めた作品と評価
2001逆転裁判カプコン法廷推理、2005年の英語版で欧米に広く知られる
2002ひぐらしのなく頃に07th Expansion同人ゲームから始まり、アニメ・マンガへ展開
2004Fate/stay nightTYPE-MOON3つのルートで同じ事件を異なる視点から描く
2009極限脱出 9時間9人9の扉チュンソフト脱出パズルと分岐する物語を融合
2010ダンガンロンパスパイク学級裁判形式の推理とアクション要素
2017ドキドキ文芸部!Team Salvato恋愛ノベルのお約束を覆すメタ演出

アドベンチャーゲームからの分岐

ビジュアルノベルのルーツは、1980年代のアメリカと日本のアドベンチャーゲームです。1983年のポートピア連続殺人事件は、映画や小説のように場所から場所へすぐに移る演出を見せ、その後の日本のアドベンチャーゲームの基本文法に大きな影響を与えました。

現代のビジュアルノベルの形式を直接作ったのは、チュンソフトの弟切草(1992)とかまいたちの夜(1994)です。全画面の絵の上に文章を重ねて見せる方式や、同じ物語を繰り返しながら新しい真実を探していく構造が、このときに生まれました。

PCノベルゲームの全盛期

1995年に日本でWindows 95が発売されて家庭用PCが増え、1996年のリーフの雫と痕、1997年のTo Heartが、ノベルゲームをPCゲームの中心ジャンルにしました。1999年のKeyのKanonに至って、ノベルゲーム市場が完全に定着したと評価されています。ウィキペディアによると、2006年には日本のPCゲーム市場の70%以上をビジュアルノベルが占めていました。

同じ時期に無料の制作ツールが公開されたことで、個人や小規模チームが作る同人ノベルゲームも増えました。2002年のひぐらしのなく頃には、同人イベントで販売されていた作品がアニメ、マンガ、実写映画へとつながった代表的な例です。

欧米へ渡る

欧米でこのジャンルが注目されたきっかけは、2005年のニンテンドーDS向け逆転裁判の英語版でした。2000年代のアニメ人気とともに原作のノベルゲームを求める人も増え、2010年代には無料エンジンRen'Pyを使った欧米のインディービジュアルノベルが数多く登場しました。2016年には、Steamにビジュアルノベルのカテゴリーが独立して設けられました。

設計の特徴

ビジュアルノベルはほかのジャンルより少ない費用で作れますが、そのぶん文章と構造がすべてを決めます。

  1. 分岐とフラグの管理:選択肢ごとに見えない値(フラグ)を記録し、後の場面や結末を変えます。選択の結果がすぐには現れず、最後になって明らかになることも多いです。
  2. ルート設計:キャラクター別のルートや、トゥルーエンドのための解放順のように、何度も読むことを前提に構造を組みます。Fate/stay nightのように、ルートごとに同じ事件の別の側面を見せる方式もあります。
  3. 読みやすさのための機能:既読スキップ、セリフの読み返し(バックログ)、オート送り、分岐点のセーブは、ほぼ必須の機能です。1996年の『YU-NO』は分岐を画面上にマップで表示し、好きな地点に戻れるようにしました。
  4. 演出のリズム:立ち絵が中心であるため、表情の変化、背景の切り替え、音楽の開始と停止、効果音が場面の緊張感を作ります。
  5. ゲーム要素を混ぜる:推理、パズル、リズム、戦闘パートを入れて、「読むだけのゲーム」という印象を変える作品も多くあります。

ウィキペディアによると、日本のノベルゲームは通常1年から1年半ほどの期間、2,000万〜3,000万円の予算で作られていました。難易度調整がほとんど必要ないことが、ほかのジャンルより費用が少なくて済む理由とされています。

こんな人におすすめ

  • 小説、マンガ、ドラマのように物語を楽しむ人
  • 素早い操作よりも、自分のペースでゆっくり楽しめるゲームを求める人
  • 推理小説が好きで、自分で犯人を指摘してみたい人
  • ひとつの物語を複数の視点から読み直すのが好きな人

反対に、手を忙しく動かすゲームを求めるなら退屈に感じるかもしれません。その場合は、逆転裁判やダンガンロンパのように推理ゲームの要素が強い作品から始めてみることをおすすめします。

現在のビジュアルノベル

ウィキペディアによると、2020年時点でSteamに登録されたビジュアルノベルは2,272本で、ファンが記録している作品データベースは2024年に5万本を超えました。中国と台湾でもビジュアルノベルの制作が増え、2019年の中国作品The Invisible Guardianは、一時Steamの世界販売ランキングで首位に立ったこともあります。

新しい試みも続いています。VRヘッドセットで等身大の人物を見せる作品、ローグライクの構造を物語と組み合わせた作品、生成AIを開発に活用する作品まで登場しました。形式は変わっても、「読む人が物語に参加する」というジャンルの核はそのままです。

参考資料

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