シティビルダー・経営ゲームとは?定義・分類・代表作で見る建設シミュレーション
シティビルダーと建設・経営シミュレーションの定義と面白さ、都市建設・歴史建設・タイクーン・サバイバル型などの下位分類、シムシティからシティーズ:スカイライン、Frostpunkまでの代表作と設計の特徴をまとめました。
道路を敷き、住宅地と工業地を分け、税金を決め、渋滞に頭を抱えます。敵と戦うわけでもないのに時間を忘れさせるゲーム、それがシティビルダー(都市建設ゲーム)と経営シミュレーションです。
このジャンルでプレイヤーは英雄ではなく、市長、総督、遊園地の社長、病院長になります。目標は敵を倒すことではなく、何かを作ってうまく回すことです。この記事では、シティビルダーと経営ゲームの定義、下位分類、歴史に残る代表作、そしてこのジャンルを面白くする設計の原理をまとめます。
定義と核となる面白さ:何かを建ててうまく回す
英語版ウィキペディアは、シティビルダーをプレイヤーが都市や町の計画者兼リーダーとして、上から見下ろしながら成長と運営に責任を負うシミュレーションゲームと説明しています。建物をどこに建てるか、賃金や作業の優先順位をどう決めるかによって、都市の姿が変わっていきます。
シティビルダーは、より広い分類である建設・経営シミュレーション(CMS)の一種です。CMSとは、限られた資源でコミュニティや事業を建て、育て、管理するゲームのことです。ウィキペディアは、戦略ゲームとの違いを次のように整理しています。戦略ゲームの目標が敵に勝つことだとすれば、経営シミュレーションの目標は続いていくプロセスの中で何かを作り出すことです。
このジャンルの面白さは次のとおりです。
- 設計する面白さ:何もない土地に、自分が描いた都市が生まれます。
- 最適化する面白さ:交通、物流、生産チェーンが滞りなく回るように磨き上げます。
- 観察する面白さ:市民やお客さんが実際に動き回り、自分が作ったシステムを利用する様子を眺めます。
- 問題解決の面白さ:財政赤字、不満、災害といった危機を収拾します。
下位分類
| 系統 | 主な活動 | 代表作 |
|---|---|---|
| 現代都市建設 | ゾーン指定、道路・交通、税金と公共サービス | シムシティ、シティーズ:スカイライン |
| 歴史都市建設 | 古代・中世の都市を時代のルールに合わせて建設 | Caesar、Annoシリーズ |
| 生産チェーン・物流 | 原料→加工→完成品の流れを設計 | The Settlers、Anno 1602 |
| サバイバル型シティビルダー | 過酷な環境で食料・暖かさ・人口を守る | Banished、Frostpunk |
| テーマパーク・施設経営(タイクーン) | アトラクション・病院などの施設配置とお客さんの満足 | テーマパーク、RollerCoaster Tycoon、Two Point Hospital |
| 交通・運輸経営 | 鉄道・バス・船の路線と運賃の設計 | Railroad Tycoon、Transport Tycoon |
| 政治・経営の混合 | 選挙、派閥、経済をまとめて管理 | トロピコ |
| カジュアル・モバイル | 時間ベースの生産とアップグレード | シムシティ ビルドイットなど |
シティビルダーは、リアルタイムストラテジーとの境界があいまいな場合も少なくありません。The Settlersのように領土争いがあったり、城を築いて攻城戦を防いだりする作品は、両方のジャンルの要素を持っています。
歴史に残る代表作
| 年 | ゲーム | 開発 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1964 | The Sumerian Game | メイベル・アディス | 古代都市国家ラガシュを題材にしたテキスト経済シミュレーション |
| 1982 | Utopia | マテル・エレクトロニクス(ドン・ダグロウ) | インテレビジョン向け、初期の都市建設ゲームと評価される |
| 1989 | シムシティ | ウィル・ライト(マクシス) | 勝利条件なしで建て続ける都市建設ジャンルの出発点 |
| 1992 | Caesar | Impressions Games | ローマの総督となって古代都市を建設 |
| 1993 | The Settlers | Blue Byte | 木こり→製材所→木材へと続く生産チェーン |
| 1994 | テーマパーク | ブルフロッグ・プロダクションズ | 遊園地の設計と運営 |
| 1998 | Anno 1602 | Max Design | 島の植民地、交易と精巧な経済シミュレーション |
| 1999 | RollerCoaster Tycoon | クリス・ソーヤー | ジェットコースターを自分で設計するテーマパーク経営 |
| 2001 | トロピコ | PopTop Software | カリブ海の島国の独裁者を風刺した政治経営 |
| 2014 | Banished | Shining Rock Software | サバイバル型シティビルダー流行の出発点 |
| 2015 | シティーズ:スカイライン | Colossal Order(発売:Paradox) | 広いマップ、精巧な交通、強力なMODサポート |
| 2018 | Frostpunk | 11 bit studios | 氷河期の都市と道徳的な選択 |
シムシティが切り開いたジャンル
経済シミュレーションの歴史は、1964年のメインフレームコンピューター向けテキストゲームThe Sumerian Gameにまでさかのぼります。1982年のインテレビジョン向けUtopiaは島ひとつをまるごと運営するゲームで、反射神経が中心だった時代に深い思考を求めました。
ジャンルを確立したのは、1989年のシムシティです。ウィル・ライトは1985年から開発していましたが、アクション要素がないという理由でパブリッシャーを見つけるのに苦労し、最終的にブローダーバンドが流通を担当しました。シムシティは決められた勝利条件の代わりに、終わりなく建て続ける構造を選び、財政のバランスと市民の満足が成功の基準となりました。ウィキペディアによると、1992年末までに100万本を売り上げました。
歴史建設とタイクーンブーム
1990年代には、ジャンルがさまざまな方向に広がりました。1992年のCaesarはローマの総督となって古代都市を建てるゲームで、これを皮切りとしたImpressions Gamesの歴史都市建設シリーズは、市場の商人や神官のような「歩き回る人」が実際に通りを巡ってサービスを届ける方式を導入し、道路の構造が重要になる設計を生み出しました。1993年のThe Settlersは生産の過程を目に見える機械のように描き、1998年のAnno 1602は島と航路を結ぶ交易経済でシリーズの幕を開けました。
1994年のテーマパークと1999年のRollerCoaster Tycoonは遊園地経営を、1997年のテーマホスピタルは病院経営を扱い、「タイクーン」ゲームのブームをけん引しました。
サバイバル型シティビルダーとシティーズ:スカイライン
2014年のBanishedは、過酷な季節、人口構成、食料安全保障を扱ってサバイバル型シティビルダーの流れを開き、2018年のFrostpunkは氷河期の都市で法と選択の重みを描きました。2015年のシティーズ:スカイラインは、大きなマップ、きめ細かな交通、発売初日から対応したMODによって現代都市建設ジャンルを再び盛り上げ、2023年には続編のシティーズ:スカイライン IIが登場しました。
設計の特徴
- 経済こそがゲーム:ウィキペディアは、このジャンルの挑戦のほとんどが経済的なものだと説明しています。建設そのものは簡単で、本当の課題は建設に必要な資源を用意し、維持費をまかなうことです。
- 2種類のツール:プレイヤーは「建てるツール」と「管理するツール」を併用します。税率、予算、政策は建物と同じくらい重要です。
- ゆるやかな勝利条件:多くの作品は勝利条件のない自由モードを用意しており、破産が事実上の敗北となります。別のシナリオモードでは、目標人口や資産といった条件が与えられます。
- 情報インターフェース:グラフ、マップのオーバーレイ表示、アドバイザーの警告のように、複雑な経済を読み取るための画面が欠かせません。そのため、このジャンルのインターフェースはゲームの中でも最も複雑な部類に入ります。
- 間接的なコントロール:市民やお客さんに直接命令するのではなく、環境を変えて行動を誘導します。渋滞を防ぐには、車を動かすのではなく道路を直す必要があります。
- 目に見えるシミュレーション:Impressions Gamesのシリーズの歩き回る人や、The Settlersの生産過程のように、システムが画面上で実際に動く様子は、問題を直感的に理解させてくれます。
こんな人におすすめ
- レゴやミニチュア、地図を描くことが好きな人
- Excelの表を整理して効率を上げることに快感を覚える人
- 戦闘なしで落ち着いて長く楽しめるゲームを探している人
- 都市計画、歴史、経済が実際にどのようにかみ合っているのか気になる人
緊張感を求めるならFrostpunkのようなサバイバル型を、気楽な創作を楽しみたいなら自由モードのある都市建設ゲームを選ぶとよいでしょう。
現在のシティビルダー
2010年代以降、シティビルダーは大きく2つの方向に発展しました。1つはシティーズ:スカイラインのような、より大きく精巧なシミュレーション、もう1つはサバイバル・ローグライク・ストーリーの要素を組み合わせた小規模な実験作です。モバイルでは、時間ベースの生産とアップグレード方式のカジュアルな都市建設ゲームが、大きな商業的成功を収めたこともあります。
ゲームの外への影響もあります。ウィキペディアは、実際の都市開発者たちがシムシティの設計を都市計画の「ゲーム化」と捉え、一部の都市改善事業がシムシティに着想を得たモデルから始まったと紹介しています。何かを建てて見守る楽しさは、こうして画面の外にもつながっています。